開園45周年にあたって~理事長・学園長 遠藤顕道~

2019.06.24

九品寺こども園は、2019年(令和元年)に開園45周年を迎えました。初代園長で、現在は学校法人明照学園の理事長および学園長を務める遠藤顕道(えんどう・けんどう)がこれまでの歴史を振り返るとともに、皆さまへの感謝の思いを綴ります。

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当園は、昭和49年の九品寺附属幼稚園設立から始まり、今年の3月をもって、開園45年となりました。園の運営に力を貸してくださった大勢の方々のおかげで、45年もの長きにわたって園を運営することができたのだと思います。まずは、保護者の皆さま、地域の皆さま、職員たち、そしてこの園を巣立っていった卒園児の方々に御礼申し上げたいと思います。

もともと私は鹿児島県出身ですが、出家してからは東京の目黒にあります祐天寺で働いておりました。昭和46年に縁あっていわきの九品寺に参ったのですが、来たばかりの時に、地域の皆さまから、かつてこの九品寺にあった季節託児所を復活させて欲しいという声を頂きました。その託児所というのは、昭和5年に始まり、戦争が激しくなる昭和18年まで存続した託児所のことです。九品寺の先々代住職にあたる心光上人が農繁期の農家の皆さまを支えるため、九品寺の敷地内に場所を作り、子どもたちを預かることにしたわけですが、その託児所を、地域の皆さんがずっと覚えていらっしゃった。 今の九品寺こども園がある土地は、かつては、とある植木屋さんが所有する広大な農地でした。その植木屋さんに話を聞いてみますと、保育施設を作るならばどうぞうちの土地を使ってください、お金なんていりませんからとおっしゃって頂いた。本当に嬉しかったですし、やらねばという思いを強くいたしました。

理事長の画像

そして、昭和49年に、この地に九品寺附属幼稚園が完成しました。実は、私がかつておりました祐天寺にも幼稚園がありました。園長がいない時などは、私も園の手伝いをしたものです。その経験が生きるとは思ってもみませんでした。 現在私は、園長の職を退き、理事長・学園長に就任してからしばらく経っておりますが、この45年の間、子どもたちの成長やその後のことを気にかけない日はございませんでした。昭和57年に平窪に開園した九品寺附属平窪幼稚園もあわせますと、これまでに約4,000人の子どもたちが巣立っています。地域に根ざして頑張っている人、目覚ましい活躍をしている人、家庭を築いて立派に生きている人など、卒園児の活躍を聞くのは本当に嬉しいです。卒園児が大学に合格したと聞けば祝電を送ったこともあります。

昭和60年ごろの九品寺附属幼稚園

私が4,000人を超える子どもたちに話して来たのは、常に頑張るということ、最善を尽くすということです。もし望んだ結果が得られなかったとしても、全力を尽くせば大きく成長し、その経験が糧になって次の一手が見えてくる。これは決して失敗ではないんですね。それからもう一つ。仲間たちと助け合うこと。助け合えば、一人では成し得ないことにも挑むことができる。喜びや楽しみを分かち合うことの大切さを、幼稚園で学んで欲しいと思って子どもたちに接して来ました。 もちろんこの「支え合い」は、職員に対しても言えることです。いわきで初めてインターナショナル幼児部(現インターナショナルコース)を作った時にもそうでした。私自身英語が不得手でしたが、日本人ではなく、やはり英語を母語とする外国人の先生に来て頂くことで、子どもたちに本物の英語を体験して欲しかった。本当に多くの方の協力を頂きましたし、職員たちの理解がなければ、こうして長く続けることも難しかったはずです。その意味で、この45年は、職員たちに支えられた45年であったとも言えます。

子どもたちの成長は、保護者や職員のみならず、地域全体の喜びでもあります。これからも、地域に必要とされる園でいられるよう、職員一同、力を尽くして参りたいと思います。みなで子どもたちのために助け合い、そして、子どもたちも、互いに助け合うことや最善を尽くすことを、園生活で学んでもらいたいと思っております。今後も、温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

学校法人明照学園 理事長・学園長
遠藤 顕道